日本シリーズの舞台裏で目撃した両チームの対照的な表情 (3ページ目)

photo by Yamamoto Raitaphoto by Yamamoto Raita そして、第5戦終了時点で楽天が3勝2敗と初優勝に王手をかけました。舞台を仙台に戻した第6戦は、今季無敗の田中将大投手が登板。「もしかしたら、これが田中投手の日本での最後の登板になるかもしれない」と考えると、複雑な心境でしたが、クリネックススタジアムへ取材に行きました。

 試合は、巨人打線に火がついて、田中投手はついに今季初黒星。巨人打線の底力を思い知らされましたが、田中投手の連勝記録が途切れた結果、3勝3敗で両チームが共に日本一へ王手。映画にでもなりそうな展開に、最終戦を控えた土曜日の夜は、興奮してなかなか寝つけませんでした。

 第7戦は最初から楽天のペース。試合が進み、途中から雨が降り出したため、えんじ色のレインコートを着るファンが増えていき、スタンドは楽天カラー一色。そして、3-0で楽天リードのまま試合は最終回へ──。

 マウンドには、前日160球を投げた田中投手が、志願して意地の登板。その瞬間に球場の熱がひとつにまとまり、巨大な渦に巻き込まれたような感覚になり、体中がビリビリするほどでした。正直、最終回は興奮し過ぎてあまり覚えていません……。記憶に残っているのは、アウトを取るごとに球場に響く大歓声だけ。

 楽天の優勝が決まって白い風船が夜空に舞う光景を見たとき、東北の人たちにとって、楽天球団は、復興へ向けての希望であり勇気であり、誇りなのだなと感じました。試合後、星野監督が「巨人じゃなかったらこんなに嬉しく、涙が出るような思いにはならなかっただろうね。選手を誇りに思います」と話していたことが、とても印象に残っています。

 今年の楽天の日本一は、日本の球史に残る、この先も語り継がれていく優勝なのだと思います。

折山淑美/構成

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11月9日(土) 夜7時からTBS系列にて放送

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