世界陸上で垣間見たイシンバエワ&ボルト両選手の素顔 (3ページ目)

 それでも、スタート直前にはおふたりともソワソワしてきて、スタートの号砲がなった瞬間に、テンションが急上昇。立ち上がって腕を振りまわして応援。その激変ぶりを見て、やはりレース前は相当緊張していたのだと思いました。

 そして、勝った後はもう大騒ぎです。ボルト選手がウイニングランで客席スタンドに来た時は、ご両親と真っ先にハグ。「ご両親が息子であるボルト選手のいちばんの熱心なファンなんだな」ということがとてもよく伝わってきました。

photo by Yamamoto Raitaphoto by Yamamoto Raita ご両親と一緒にレースを見て、その喜びようを見ていたら、ボルト選手にもひとりの息子としての人生があり、そう思うと、私たちと同じ人間なんだと "世界最速の男"をちょっと身近に感じることができました。

 その後のミックスゾーンで「ご両親がすごく喜んでいましたね」とボルト選手に聞くと、「母にたくさんキスされた(笑)」と笑顔で答えてくれたのですが、それは「人間・ボルト」の素顔を見た瞬間でした。

 ボルト選手はレース後も各国のテレビ局の前で呼び止められて話を聞かれるのですが、どこの国のメディアに対しても、すべて立ち止まって答えていきます。その姿もまた、すばらしい走りと同じくらい印象に残りました。

 この先、100m、200mの世界記録がどこまで伸びていくのか。ボルト選手は、2016年のリオデジャネイロ五輪で引退すると発表しましたが、もっともっと現役を続けて、私たちにその力強い走りを見せてほしいです!

折山淑美/構成

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