この夏、もっとも印象に残っている日大三・森主将の言葉

 森選手は秋季大会も春の大会も出場できませんでした。それでも、主将として朝5時半からの朝練に毎日顔を出し続けました。自分ができる練習は椅子に座って素振りをするくらい。ただ、全体の練習を俯瞰して見ることができたので、「気がついたことをチームメイトにアドバイスするようにしていた」と自分ができることを考え、実行していったのです。

photo by Saga Akihirophoto by Saga Akihiro 森選手自身、「こんなに長い間休んでいて大丈夫なのだろうか?」という野球選手としての焦りもあったそうです。ずっとつけていた野球ノートも、ケガをしている間は「チームメイトに迷惑をかけて申し訳ない。みんなに感謝している」というひと言しか書けなかった──。

 そんな辛い時期を乗り越えられたのは、小倉監督の「夏にお前が戻ってくるのを待っているからな」という言葉があったから。「しっかりケガを治して、夏に向けて頑張ろう」と気持ちを落ち着けることができたといいます。

 小倉監督は、普段選手と同じ寮に住んでいて、落ち込んでいる選手がいると自分の部屋に呼んでおやつを食べながら、「大丈夫か」と声をかけて、じっくり選手の話を聞く全員のお父さんのような存在です。また、父親を7年前に亡くしている森選手にとって、小倉監督は「父親以上の存在」(森選手)と言います。

 その小倉監督から「この夏はお前に任せるからな」と言われた森選手は、監督や辛抱強く待ってくれているチームメイトのために、1日でも早く復帰をしようとリハビリを続け、西東京大会の初戦に出場することができたのです。

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