陸上界の「エビちゃん」海老原有希選手が考える「日本人の武器」とは? (3ページ目)

 日本人らしい技術を生かして記録を伸ばし、自信を持って臨んだ2011年の世界陸上では、初めて決勝へ進んで9位。ただ、ベスト8進出は19cm差で逃してしまいました。「決勝へ進んだことよりわずかな差で入賞を逃したことの方が悔しかった。やっぱり本番で60mを確実に投げなければ勝負できない」と強く思ったそうです。

 海老原選手は、昨年のロンドン五輪は予選敗退でしたが、その悔しさをバネに今年4月の織田記念では、自らの日本記録を62m83cmにまで伸ばしています。着実に実力がついて自信を持っているからこそ、今年の世界陸上に向けて落ち着いた心境で準備ができているようです。

「今回の世界陸上は、入賞が最大の目標ですけど、その前に決勝に残ることに集中したい。女子やり投げは最終日の8月18日。リレーもあるけど、かっこよく言えばやり投げ決勝は大会のトリとなる種目だから、決勝には何としても残りたい」と意気込んでいました。

 海老原選手はふだん、所属するスズキの販売会社の総務課でパソコンに向かってデスクで仕事をしています。日本選手権には社長をはじめ20人くらい同僚のみなさんが応援に来てくれたそうです。その時「海老原さん、ジャージ姿が似合うね」と言われたのが少しショックだったと言い、「スカートを履いている職場での制服姿はどう見られているんでしょう......。制服も似合うと言ってもらいたいですね(笑)」と乙女心も吐露してくれました。

 取材の最後には、野球の軟式ボールを遠投してもらったのですが、記録は68m18cm。やり投げでその記録が出れば、世界大会でのメダルは確実です。海老原選手は、「いつかはここまで投げたいな」と記録への思いを口にしていました。

 海老原選手と同じスズキ浜松AC所属で男子やり投げの村上幸史選手が、33歳になった今も、世界陸上とリオデジャネイロ五輪でのメダル獲得を目指していますが、現在27歳の彼女もきっと、同じように次の大舞台を目標に競技を続けていくのだろうと思います。

 今年の世界陸上は8月10日に開幕。私もモスクワに行く予定ですので、日本人選手たちの活躍を現地からお伝えします!

構成/折山淑美

世界陸上モスクワ2013はTBS系列独占放送
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