現役続行。水泳への情熱を貫くスイマー、北島康介選手 (2ページ目)

 北島選手にとって、2008年の北京五輪後に平井伯昌(のりまさ)コーチの下を離れてアメリカへ拠点を移し、新たな挑戦を始めてから臨んだ初の五輪が、昨年のロンドン大会。その挑戦がうまくいくかどうかは、未知の部分が多かったと思います。

 ロンドン五輪出発直前、北島選手に大会へ向けてのインタビューをした時、今の出来は何割くらいか聞くと「5割」という答えが返ってきました。私は「本番1週間前なのに5割?」と驚きましたが、北島選手は「向こうへ行ってから時間がある」と焦る様子はまったくなし。

 本番が近づけば自然と集中力が高まることをこれまでの経験を通して自ら知っているから、冷静でいられるのでしょうし、最後の最後まで自分を信じられるからこそ、数々の偉業を残してきたのだろうと思いました。決してあきらめない気持ちを持ち続ける、それが北島選手の真骨頂なのだと思います。

 そして、ロンドン五輪では200m平泳ぎで熾烈なメダル争いを繰りひろげ、メドレーリレーでは銀メダルを獲得。大会後、北島選手に「これから何をやりたいですか?」と聞いた時、「指導もやってみたい」と話していました。

「北京五輪後、一時競技を休んだ時にテレビの解説もやってみたけど、その上で自分の存在意義は水泳にあると感じた」と。シドニー、アテネ、北京、ロンドンと五輪に4回も出場したアスリートだからこそ、そのことを実感したのだと思いますし、今は自分の心が決まるまで、水泳を続けようと考えているのだと思います。

 北島選手にとって「4年に一度の五輪の存在は非常に大きい。毎日毎日練習をしていても、自分たちがもっとも注目されるのは4年に一度のその時。水泳はそういう競技だから、そこで結果を出すことが一番重要」と言います。

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