大学のゴルフ部で見た松山英樹選手の意外な一面 (2ページ目)

 実は以前、東北福祉大学で松山選手の取材をしたことがありました。そのときは、「目立つのはあまり好きじゃない」と言っていた松山選手ですが、今年プロ宣言をしてからは「ギャラリーに注目されている中でプレイができることにすごくやり甲斐を感じている」と、プロらしいコメント。「つるやオープン」の優勝争いの中でも、ギャラリーの視線を力に変えられたのだろうなと思いました。大物感たっぷりで、これから先が楽しみです。

 東北福祉大学で取材したのは2年ほど前のことで、ちょうど松山選手が「三井住友VISA太平洋マスターズ」で優勝した後でした。初めてお会いした時は、「体がしっかりしているな」という印象で、同い年の石川遼選手と比べるとがっしりしていて、「体型に恵まれている」と思いました。

photo by Yamamoto Raitaphoto by Yamamoto Raita その時は、松山選手ひとりの取材ではなく、ゴルフ部の仲間も交えての取材でした。同級生が一緒にいたのですが、松山選手は練習でも食事の時でも部員の中心にいて、ガキ大将的な存在。本人も「自己中です」と言っていましたが、マイペースでいても周りがそれを許してしまう愛すべきキャラクター。逞しく、図太い選手だなと感じました。

 松山選手は、「僕は忘れっぽい性格で、試合の日にゴルフシューズを忘れたこともあります(笑)」と言っていましたが、周囲もそんな松山選手のマイペースぶりを認めていて、それを同級生のキャディーや全ゴルフ部員がしっかりフォローして、松山選手を支えている印象でした。

 アマチュアとして「太平洋マスターズ」で優勝した後だったので、賞金をもらっていないことについて、「せっかく勝ったんだから、賞金が欲しいと思わなかったですか?」と質問すると、「いや、思わなかったです」とあっさりした答え。また、「(プロだったら)BMWを1台もらえたんですよ?」と聞いてみましたが、「車はありますから」とまったく未練はない様子でした。まるで、アスリートとしてのキャリアプランが自分の中で定まっていて、プロになってからすぐに取り返せるというような口ぶり。松山選手の大器の片鱗を見た思いでした。

 また、東北福祉大ゴルフ部の阿部靖彦監督の指導方針は、「ゴルファーとしてだけではなく、人としての心構えをキッチリ教えておかなければいけない」というものだそうです。だからこそ、松山選手はすぐにプロ宣言をしないで、3年生になった今年になってからゴーサインが出たのだと思います。

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