スポーツの専門家が注目するLIXILの最先端スポンサーシップの秘密 (2ページ目)

  • text by Sportiva
  • photo by LIXIL

 このようなコンテンツ作りは、クラブや選手側からも歓迎されている。クラブが行なう情報発信は、公式発表的な意味合いが強くなるうえ、たとえば負けが込んでいる状況では、選手の私生活や内面に迫るようなライトなコンテンツを作りにくいという事情があるからだ。

 現在、鹿島アントラーズ クラブ・リレーションズ・オフィサーとして活動する中田浩二氏は、「鹿島アントラーズだけだと当然、情報発信について限界があるので、LIXIL様のお力を借りることによって可能になる部分が本当に多い」と語る。
鹿島アントラーズ クラブ・リレーションズ・オフィサーの中田浩二氏鹿島アントラーズ クラブ・リレーションズ・オフィサーの中田浩二氏 LIXILは鹿島アントラーズと毎週、コンテンツ制作、公式戦のマッチデー施策などについて定例会議を行ない、クラブ発ではできない魅力あるコンテンツをともに考えている。

 このようなコンテンツの方針となったのは、LIXILの過去の反省が発端だった。その理由をLIXILブランド戦略部 戸谷暁祐部長は語る。

「かつては、選手を起用してショールームを見てもらったり、トイレを使用してもらったりという動画も出していました。しかしそれが本当にファンが求めているものなのかと考えた時に、そうではないなと思ったんです。その選手のファンのなかには、『選手をこんなことに使わないで』という方もいると思います。これを失敗体験として、意識してコンテンツ作りをするようになりました」
LIXILブランド戦略部 戸谷暁祐部長LIXILブランド戦略部 戸谷暁祐部長 LIXILはこの経験から、スポンサーとして相応しいコンテンツとは何か、どうすればファンが喜んでくれるコンテンツになるのか、クラブや選手、ファン、LIXILの三者にとってメリットのあるコンテンツとは何なのかを、イチから考え直した。

 そこから導き出された答えが『ファン目線』だった。「ファンと同じ目線で、ファンに喜ばれるコンテンツ、企業にしかできないコンテンツを提供していこう」というコンセプトのもと、「企業のコマーシャルをまったく入れない」ことで制作してきた。

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