大谷翔平、中村奨吾、家長昭博がガムを噛んでプレー。噛む力とパフォーマンスの関係とは (2ページ目)

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 二人が所属する千葉ロッテマリーンズと川崎フロンターレは2019年から「噛むこと」に着目し、外部機関などともに取り組みを行なってきた。

 長年、アスリートの噛む力を研究してきた東京歯科大学スポーツ歯学研究室教授で、日本スポーツ協会公認スポーツデンティストでもある武田友孝教授は「『噛むこと』を取り入れておよそ3年が経過する千葉ロッテマリーンズと川崎フロンターレが好成績を収めているのは、偶然ではないかもしれないですね」と語る。

「噛むこと」の必要性や「噛むこと」がもたらす意外な力は、科学の進歩によって、明らかになってきている。武田教授は「噛みしめることによって、筋力が4〜6%程度アップする」という。さらに姿勢が安定する効果もわかっている。影響は体だけにとどまらず、「脳の活動を促す働きも大きい」と語る。「しっかり噛むと、認知機能をつかさどる前頭前野の血流がよくなるので、集中力と判断力が上がる」と噛むことにより、パフォーマンス向上につながる理由を解説する。

 また、歯学的な見地からいうと、一般的に左右50対50の咀嚼バランスが理想とされているが、人によって噛み癖があるため、多くの人が咀嚼能力に左右のバラツキがある。理想的な咀嚼能力を整えるのにはそれなりに時間を要するため、中長期的な視点に立って、ガムなどでそのバランスを整えていくことが効果的だとされている。

 武田教授は、千葉ロッテマリーンズと川崎フロンターレでガムを使った指導を行なってきた。まずは口腔の健康を学んでもらうとともに、噛むことによって生じるさまざまな効果について講義を実施。そして各選手の噛み合う力と左右のバランスを測定し、その測定結果を基に、形状2種、硬度3種、フレーバー10種類、計60種のガムから「プロフェッショナルガム(カスタマイズガム)」を製作した。そのガムを使用して、噛む力を養うトレーニングを指導し、左右のバランスを整えていった。

千葉ロッテマリーンズでの口腔健康セミナーの様子千葉ロッテマリーンズでの口腔健康セミナーの様子

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