渋野日向子が全英連覇に挑む。牙をむく最大の敵は何か? (3ページ目)

  • 武川玲子●文 text by Takekawa Reiko

 だが、いいショットが必ずしもいい結果につながるとは限らない"リンクス"について、畑岡は「大嫌い!」と言っていたことがある。

「一日の間に四季がある」と言われるスコットランドの夏。天候が急変することは、しばしばある。日が差せば、汗ばむ陽気もあるが、一転、強風が吹き荒れて、冷たい横殴りの雨が降れば、寒さで凍えることになる。

 硬いフェアウェーは、どこにボールがバウンドするか予想がつかず、ナイスショットがポットバンカーに転がり込むことは、往々にしてある。その深いバンカーも90度の壁に囲まれて、ピン方向を狙って打てないことはざらだ。

 全英オープン5勝のトム・ワトソン(アメリカ)でさえ、「リンクスの本当の楽しさを理解するのに、何年も要した」という。続けて、彼はこう語っている。

「あらゆる想像力が必要なのが、リンクス。自然と戦いながらのプレーは、うまくいかずに嘆くが、そのなかでたった一打でもうまくいった時に、リンクスの面白さがわかる」

 はたして、畑岡はリンクスコースでの戦いを「面白い」と感じることができるのか。上位進出へのポイントは、そんなところにありそうだ。

 その他、日本勢で注目なのは、米LPGAツアールーキーの河本結。6カ月ぶりに再開した同ツアーの初戦、LPGAドライブオン選手権では最終日にトップに立つなど、最終的に4位という好成績を残した。その翌週に行なわれたマラソン・クラシックでは右肩の痛みがあり、残念ながら予選落ちしてしまったが、コンディションを整えて臨めれば、メジャーでの大躍進があっても不思議ではない。

 さらに、ベテランの上田桃子に、渋野、畑岡、河本と同じ「黄金世代」の勝みなみも参戦。いずれも実力者ゆえ、自らのリズムでプレーできれば、上位争いも可能だろう。

3 / 4

    厳選ピックアップ

    キーワード

    このページのトップに戻る