ラグビー日本代表、W杯33試合から選ぶ「後世に残したい、あの一戦」 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • photo by Getty Images


 この自信はどこから湧き上がってきたのだろうか。ひとつ目の理由としては、日本代表チームが4年をかけて進めてきた「入念な準備」が挙げられるだろう。

 南アフリカ代表戦における日本代表の登録メンバー23人の総キャップ(試合出場数)を足すと、合計574キャップになる。かねてよりジョーンズHCは「W杯で結果を残すためには、ひとり40キャップ(スタメン15人なら計600キャップ)が必要」と公言していたが、23人全員でそれに近い数字となった。

 ここまでキャップ数を増やせたのは、指揮官がこの4年間、メンバーをほぼ固定して国際経験を積ませてきたからである。2012年の就任直後の時点で「10番、12番は小野晃征、立川理道、田村優でいく」と語っていたとおり、ジョーンズHCはこの南アフリカ代表戦でも10番に小野、12番に立川を起用し、そして田村も控えから出場させた。

 また、ジョーンズHCは個々の選手の能力を高めるため、主力選手がスーパーラグビーに移籍することを後押ししたことも大きい。

 PR(プロップ)稲垣啓太、HO(フッカー)堀江翔太、CTB(センター)マレ・サウはレベルズ、FL(フランカー)リーチ マイケルはチーフス、No.8(ナンバーエイト)ツイ ヘンドリックはレッズ、SH(スクラムハーフ)田中史朗はハイランダーズ、CTB立川はブランビーズ、WTB(ウィング)山田章仁はフォース、WTB松島幸太朗はワラターズ......。各々がスーパーラグビーというレベルの高い環境に身を投じた。

 ジョーンズHCは4年間かけてフィジカルを向上させるとともに、スクラムやラインアウトの強化にも余念がなかった。「世界の強豪と戦うためには、セットプレーの成功率は9割必要」と常々言っていたとおり、南アフリカ代表戦で挙げた3トライも、スクラムとラインアウトが起点となっていた。

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