クラシコで「メッシ時代」幕開けの一撃。超攻撃戦術が走り出した (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images


 バルサはカウンターを恐れず、パンチを浴びせ続けた。ノックアウトしか考えていない。バロンドールを受賞したイタリア人センターバック、ファビオ・カンナバーロ、聖なる守護神、カシージャスを中心にした必死のガードを、叩き壊す迫力があった。なにより、カウンターパンチを少しも怖がっていない。ガードを下げ、パンチを打ちまくる戦法だ。

「勇敢に戦え」

 グアルディオラは選手たちによく言う。その勇敢さは、「プレー強度を高め、相手を力づくで潰せ」という指令ではない。「ボールをつなげ、相手ゴールに迫れ。失うリスクを恐れるな」という意味の勇ましさだ。

 そしてバルサは68分、交代出場の20歳MFセルヒオ・ブスケッツがアウベスとのワンツーをボックスで受けようとし、ミチェル・サルガドに引き倒される。PKの判定だった。キッカーはエトーだったが、カシージャスにコースを読まれ、失敗した。

 しかしバルサの真骨頂はここからだ。気落ちなどしない。72分、PKを外したエトーは気迫に満ち、メッシのボールを受けると、反転から重くスピードに乗ったシュートでカシージャスを襲う。弾いたところをつめたメッシがシュートを放つが、これも止められる。

 バルサは攻め続ける。

 そして83分、右CKでシャビ・エルナンデスが魂を込めたボールを蹴る。ファーポスト、ひときわ高い打点でプジョルがヘディングで合わせ、ゴールエリアにいたエトーが反応。どうにか腿に当て、ネットを揺らした。

「白人のように稼ぎ、黒人のように走る」

 バルサの入団会見で語ったエトーは、自身を冷遇したマドリードを見返すゴールを決めた。

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