「卓球で一番面白い試合するのは誰か」。双眼鏡でわかるサーブの真髄 (2ページ目)

  • text by Sportiva
  • 木鋪虎雄●写真 photo by Kishiku Torao


――Tリーグに限らず、これまでの大会や試合で、印象に残っているものはありますか?

「最近だと、ドイツオープン(ITTFワールドツアープラチナ・ドイツオープン/1月28日~2月2日)ですね。水谷の試合なんですが、2回戦でゲームカウント0-3の劣勢から逆転勝ちしました。対戦相手の林昀儒(リン・ユンジュ/チャイニーズ・タイペイ)は巧みなサーブ、バックのチキータ、速い展開の攻撃が得意な選手。水谷は中陣から後陣で組み立てるタイプです。最初は押されていましたが、少し下がって自分の得意なゾーンに持っていってから点が入るようになりました。逆転勝利は彼の真骨頂。水谷の試合を見ているのが一番面白いと思います。

 また、準々決勝では林高遠(リン・ガオユエン/中国)と対戦したんですが、ここでも0-3から盛り返しました。特にゲームカウント2-3、ポイント8-6で水谷リードの場面が印象的でした。長いラリーで、水谷が打ったのは全部で13球。後陣からロビングを上げまくっていたんですが、最後に打ちごろの球が来て、それをドライブして決めました。私も思わず興奮して大声を出してしまいました。結局、水谷は3-4で敗れてしまいましたが、Tリーグファイナル、そしてその先に向けていい準備が出来ていることがわかりました」

――卓球を観るときに、どんなところに注目していますか?

「サーブの出し方です。サーブの種類って無限にあるんです。回転は、上回転、下回転、横回転、斜め回転、ナックル(無回転)に大きく分けられますが、そこにボールスピードだったり、回転量だったり、(卓球台の)手前に落とすのか、奥に落とすのか、その組み合わせで何通りにもなります。ボールを上げるトスにもいろいろと種類があります。トスを高く上げれば上げるほど落下速度が速くなり、それを利用して速いサーブを出せます。逆に低いトスだと、威力は出ないけど、コントロールがしやすくなります。台の左、右、中央と打つ場所を変えれば、角度をつけることができます。

 選手はサーブを出すときに、相手にどんな回転かを見極められないようにしているんです。だから隠しながら打ったりします。あと、ラケットに当てるときに、普通にインパクトしているように見えて、ほんのわずか動きを加えて回転の角度を変えたりして、相手に見極められないようにしています。サーブに卓球選手のプロの思考と技術が詰まっているんです。それを知ることで卓球の奥深さがわかってくるはずです」

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