大坂なおみが新スタイルで挑む全豪OP。「3本目までに主導権」がカギ (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

錦織圭を欠く今大会で、大きな期待がかかる西岡良仁錦織圭を欠く今大会で、大きな期待がかかる西岡良仁 また、時代の転換期に差しかかったのは、男子も同じと言えるだろう。ラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、そしてロジャー・フェデラー(スイス)による支配は依然続いているが、トップ10にはダニール・メドベージェフ(ロシア)をはじめ、4人の23歳以下の選手が名を連ねる。

 とりわけ、メドベージェフとステファノ・チチパス(ギリシャ/21歳)は昨年、ATPマスターズなどの大舞台でジョコビッチやフェデラーらを破り、ビッグタイトルを掴み取ってきた。ここ数年、毎年のように叫ばれては先延ばしされてきた「世代交代」ではあるが、いよいよその足音が迫ってきた感が強い。

 とはいえ、グランドスラムに限ってみれば、過去3年間の全タイトルをビッグ3(ナダル、ジョコビッチ、フェデラー)が独占してきたのが現実だ。2週間で7試合を戦う長丁場のグランドスラムでは、勢いだけで頂点に至ることは難しく、オフコートの過ごし方もプレーに大きな影響を及ぼすという。

 経験と若さが趨勢(すうせい)の天秤を揺らすなか、果たしてベテラン勢と新勢力のどちらが大会を席巻するのか?

 この大会が今シーズンのみならず、今後のテニス界を読み解くうえで、ひとつの指標になるという意味でも、例年にも増して楽しみな全豪オープンになるのは間違いない。

 そのような潮流のなかで、この戦いの舞台に錦織圭が不在なのは残念だが、それも今季を見通したうえでの決断。昨年10月にメスを入れた右ひじの完全回復を最優先させたがゆえである。

 今回のひじのケガは、昨年の全仏オープン頃から慢性的に続いていたもので、言わば小さな無理の蓄積により生じたものだ。だからこそ錦織は、抜本的な解決を目指し、フォームの改善にも取り組むと明言した。

 20代前半の頃は「30歳を過ぎた自分がどうなっているか、イメージできない」と言っていた錦織だが、まだ体力的な衰えを感じることはなく、技術面では上達の喜びを覚えることも多いという。手首のケガを負った2年前がそうであったように、この全豪欠場が完全復帰への足がかりとなることを願いたい。

 かくして、錦織を欠いた今大会ではあるが、史上最高の層の厚さを誇る今の日本男子テニス界には、多くの話題と期待があふれている。

 その筆頭にいるのが、24歳の西岡良仁。ランキングこそ71位だが、昨年は多くの上位勢を打ち破り、敗れた試合からも常に多くを持ち帰った。そうして迎えた今シーズンは、すでにATPカップでふたりのトップ50選手に完勝するなど、新たなステージに上った感がある。グランドスラムではまだ2回戦が最高成績だが、今回の全豪オープンで一気に壁を突破する可能性は高いだろう。

 歴史的に最も若いグランドスラムの全豪オープンは、オーストラリアという若い国の活気とも相まって、新しいことが起きそうな気運が強い。新時代と新鮮なドラマも、きっと灼熱の南半球から始まる。

※世界ランキングは1月17日時点

全豪オープンテニス
2020シーズン最初のグランドスラムとなる全豪オープン。2019年全豪を制覇し、日本人で初めて世界ランキング1位になった大坂なおみなど、今年の行方を占うトッププレーヤーたちの熱い戦いに世界中が注目する!

【放送予定】
1月20日(月)~2月2日(日)WOWOWにて連日生中継[大会第1・2日無料放送]

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