双眼鏡から見えたラグビーW杯日本金星の真実「南アはおびえていた」 (3ページ目)

  • 高橋学●写真 photo by Takahashi Manabu、AFLO

――双眼鏡で見るときに、どんなところに注目すると面白いのでしょうか?

「試合中は、スクラムやラインアウト、あるいはケガ人が出たところです。スクラムでは組む前の姿勢に注目しています。僕は1千試合ぐらいも観ているのでわかってきたんですが、組む前の姿勢がいいと、だいたい押し込みます。あとはナンバーエイトの動きですね。2018年11月の日本とイングランド戦のときに、ナンバーエイトの姫野和樹がスパイクで足場を固めていたんです。スクラムの最後尾にいるナンバーエイトが足場を確認しているときは、8人全員でスクラムを組むという意識がすごく高いので、そんなときは押し込むことが多いですね。

 あとは、ケガで選手が倒れているシーン。そのときは、立ち上がったときの表情に注目します。それを見れば、どの程度その後のプレーに影響するかわかります。元気のいい顔をしていたら問題ないのですが、本当にしんどそうに立ち上がる選手は、だいたい10分後に同じように倒れてプレーができなくなります。それも双眼鏡で見て確認しておくと、その後の試合の展開が見えてきたりしますよね」

――そのほかあまり注目されないけれど、ここを見ると面白いというポイントはありますか?

「双眼鏡の力がすごいなと思うのは、試合前の国歌斉唱。選手たちの表情がすごく面白いんですよ。それを見ていると、この選手はどんなプレーをするのかなと、そのあとのストーリーが見えてくるんです。テレビでも映りますが、中にはカメラの前だと表情を変える選手がいるんですよ。だから僕は、カメラが通り過ぎたあとの選手の顔を見るのが好きなんです(笑)。それが本当の表情なので。

 ワールドカップで言えば、試合前にいくつかのチームで、ウォークライ(自分たちの力を誇示し、相手を威嚇する民族舞踊)を見ることができます。有名なのはニュージーランドの『ハカ』ですね。あれを双眼鏡で見ると面白いですよ。ハカは表情が豊かで、選手たちが舌を出したりするんですが、それがよく見えます」

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