2019.09.19

双眼鏡から見えたラグビーW杯日本金星の真実
「南アはおびえていた」

  • 高橋学●写真 photo by Takahashi Manabu、AFLO

――ワールドカップの取材で、一番記憶に残っている試合は何ですか?

「前回のワールドカップで、日本が南アフリカに勝った試合ですね。29-32で日本がリードされていて、ラストワンプレーで日本がトライをとって逆転するんですが、あの時に、日本がゴール前でペナルティーを取りました。私が座っていた席の後ろのほうに日本代表のエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)がいたんですが、ペナルティーゴールを狙えと指示を出していたんです。

 でも、私が双眼鏡で選手たちを見たら、みんなの顔つきがすごく獰猛(どうもう)だったんです。そうしたら、リーチ マイケル主将はスクラムを選択した。それを見てエディーHCは猛烈に怒っていました。

 ただ、僕には南アフリカの選手がおびえているように見えたんです。恐れていた。『スクラムでくるのか』と。そして、スクラムを組みました。向こうも必死ですから、日本は斜めに崩されたんですね。でも、うまかったのは、現日本代表でもあるトンプソン・ルークが押されながらも、うまくボールをブロックしたんです。それをアマナキ(・レレイ・マフィ)が生かして、スクラムハーフの日和佐(篤)がつないだ。そこから20くらいパスを回してトライになるんです。

 トライした瞬間、エディーHCは自分の手柄みたいに大喜びしていました。僕も喜んでね。30年以上記者をしていますけど、あの試合のときは本当にうれしくて、生まれてはじめて記者席でガッツボーズをしたんです」