Tリーグ・タイトルパートナー、「ノジマ」の社長が描く卓球界の未来 (3ページ目)

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei
  • 田中亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

ノジマTリーグ、日本卓球界の未来について語ってくれた野島氏ノジマTリーグ、日本卓球界の未来について語ってくれた野島氏――その他に、リーグの認知度を高めるために必要なことは?

「これまでの卓球界は、引退された福原愛さんのように、個人での認知度が高い選手が引っ張ってきたという印象がある。福原さんが残してきた功績は大きく、男子では張本智和選手、女子では"みうみま(平野美宇・伊藤美誠)"や、14歳で全日本選手権を準優勝した木原美悠選手といった、新しい才能がどんどん出てきています。

 大切なことは、こういった流れを絶やさないために、リーグが10年、20年先を見据えて運営を行なうことです。若い選手の育成が、結果的に卓球界の発展やリーグの認知度アップにつながっていく。Jリーグのように"T1"や"T2"というカテゴリーがあってもいいですね。あとは、テレビ放映も含めた、露出面も強化していかないといけないでしょう」

――観客の満足度を高めるという点についてはいかがでしょうか。

「それについては、先ほど挙げたホスピタリティの部分もそうですが、お客様に参加していただくスタイルを作りたいですね。例えば、応援の仕方を各チームに考えてもらい、お客様が選手と一緒に会場の雰囲気を作り上げていくというような。野球やサッカーでは、そういった文化が定着していますよね。卓球の場合は、試合中に静かに観戦し、ラリーの音だけが会場に響いていることが多い。『(ラリーの)音が聞こえないといけない』という発想を逆転させて、いかに盛り上げるのかを追求したいです。

 試合中の飲食についても、お酒を飲みながら楽しんでもらう形式でもいいと思います。"おつまみピンポン"といった雰囲気でね。現状は、椅子にカップホルダーがなかったり、食べ物を置くことができるスペースがなかったりしますから、設備面も変えていくというのも可能性のひとつでしょう。

 あとは、昔に比べるとカットマン、ドライブマンの選手が減り、卓球台の近くでプレーする速効型の選手が多くなったことによるスピード感は、他のスポーツではあまり体感できないものだと思うんです。観客のみなさんにも、そのスピード感がわかるような仕組み、例えばVR(バーチャル・リアリティ)の導入も視野に入れてもいい。テレビで試合を見るのもひとつの楽しみ方ですが、会場でVRを体感してもらうのも面白いと思いますね」

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