伊達公子が若い子に伝えたい
「トレーニングと用具選びの重要性」

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • TOBI●撮影 photo by TOBI

 その意味では、37歳での「再チャレンジ」後の彼女には、あふれる情報のなかから自分に合ったものを取捨選択する選定眼も大きな武器になっただろう。12年の空白の時を経てツアーの"戦場"に戻ってきた彼女の目に、21世紀の女子テニスはどう映ったのだろうか?

「すべてにおいて、昔とは違いましたね。ウォーミングアップも、以前は10分ほどちょこちょこっとジョギングとストレッチをしてコートに入るのが普通でしたが、今はみんな20~30分はやるし、私の場合は1時間前にはコートに行ってアップしていました。

 1980~1990年代では、ナブラチロワが食事にしても、トレーニングにしても、科学的な取り組みで先を行っていた選手だと思います。今のように会場に必ずジムのある時代でもなかったので、意識の高い人だけがホテルのジムを使用する感じでした。

 今は、大会期間中であれ、試合前であれ、試合当日であれ、やる選手は、ちょっとやりすぎじゃないかと思うほどにトレーニングしている姿を目の当たりにします。クールダウンも真面目にやる選手は多いですよね。トップに行く選手は、必ずそういう傾向が強いかなと思います。(ノバク・)ジョコビッチや(ミロシュ・)ラオニッチ、女子では(キャロリン・)ガルシアなどがジムの常連です。

 私自身も、これだけブランクと年齢的なこともあるなかで9年半できたのは、トレーニングのおかげだと思います。今の時代のトレーニングだからこそ、持ったと思います。これが昔のトレーニング法だったら長く続かなかったと思うし、壊れてしまっていたとも思います。

 そこに自分の経験も加味して......やっぱり若いころより身体に対する意識も高くなったし、意識によって身体が変わることも知れたからこそ、取り組む度合いや取り組み方、取り組む姿勢と量も必要な分だけやってきた。9年半できたのは、それが大きいと思います」

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