ミロシュ・ラオニッチが原宿に出現。明晰な頭脳で語る「日本の美徳」 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ニューバランス社の美点をそう語るラオニッチは、店内に整然と並んだシューズやウェアの列をうれしそうに眺めては、まるで自身も「ニューバランスイズム」にならうかのように、店員や関係者たちと笑顔で言葉を交わし、同じ写真のフレームに収まる。

 さらに彼は......その様子をやや遠巻きに眺めていた少年たちに自ら歩み寄ると、声をかけ、「一緒に写真を撮りたい」という彼らの求めにも応じるのだった。

「とてもすばらしい体験だったよ。いつも日本に来ると思うけれど、この国や東京の街の情熱やテニス人気は、他の土地ではなかなか感じることができないものなんだ」

 ショップ訪問のみならず、明治神宮や渋谷のスクランブル交差点にも足を運び、東京の空気や日本の文化を全身で感受したと彼は言う。

 ラオニッチの2017年はここまで、ハムストリングや左手首などのケガに苦しめられた。本人曰く、「やや不本意でストレスの溜まる」シーズンだった。

 その流れを変えるべく、日本文化やニューバランス社の美徳である誠実さと、東京の街が有する情熱を背に受けて、彼はシーズン終盤戦へと向かっていく。

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