「振り切れ!」。土居美咲、世界ランク20位という目標達成のために (2ページ目)

  • 津金一郎●文 text by Tsugane Ichiro  五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro

 まだ、ラオニッチ選手との直接の交流はないですし、彼はビッグサーバーで、私とプレースタイルが全然違うのですが、年齢は彼が1歳上と同世代として刺激になりますね。どんな選手であれ、みんなが夢に向かって情熱を傾けている。そのなかで、ひとつでも上に行こうとするなら、やっぱり自分を信じて、貫き通さないといけないなって強く思いますね。でも、これってすごく難しいことでもあるんです。

 私は心が揺らぎそうなとき自分に言い聞かせている言葉が、「できる。できる」。試合のなかで追い込まれると、自信を持ってプレーできなくなる。でも、シンプルだけど、そう言い聞かせているうちに、不思議と気持ちが立て直せるんですよね。

 気持ちのあり方はすごく大事だなって感じています。私は攻撃的なプレースタイルが持ち味なのでが、気持ちが少しでも揺らぐとその特長が出せなくなってしまう。そのときに、「できる、できる」と言い聞かせることで、ラケットが振り切れるようになり、積極的なプレーが出せるようになるんです。

 もちろん、裏付けがないとダメですよね。いくら言葉をかけたところで練習してないと。私の場合は練習で積み重ねてきたものや、自分よりもレベルが上の選手と一緒に練習する機会が増えて、そのなかで互角に渡り合えていることが自信につながっていますね。だから、練習でやってきたことを試合で出せれば、勝てるという実感もあるんです。

 こうした考えになったのは、ここ2年くらいのこと。2015年4月からコーチをクリスチャン・ザハルカさんにお願いしているのですが、彼から練習で言われるのは「振り切れ」、「積極的に」、「強く打て」というシンプルなことだけ。それを意識して練習から取り組んでいるし、試合でも一番大事にしているのは"ラケットと振り切る"こと。だからこそ、試合中に唱える言葉が意味を持つのかなって思いますね。

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