今季、心機一転を図るゴルファー有村智恵の「現在・過去・未来」 (2ページ目)

  • 津金一郎●文 text by Tsugane Ichiro 五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro


 私自身、これまでのゴルフ人生でいろんな波を経験してきたので、ボリス・ベリアン選手のメッセージに、ついつい自分のことを投影して胸がグッときますね。「思い出せ」って言葉、本当にその通りだなって......。私もこれまでの道のりを1年に1回くらい思い出します。ゴルフは個人スポーツなので、自分で自分を追い込まないといけない。極限まで追い込んでいくと、「もう十分やったよ」という甘い囁きが自分の中から聞こえてきて、誘惑に負けそうになる。そういう究極にキツイ状態の時にゴルフ人生を振り返りますね。

 思い出すのはいろんな時期ですね。ゴルフを始めた頃から中学生まで、高校時代、プロ転向から初優勝までの時期、国内ツアーで活躍できていた頃、アメリカ挑戦の日々、熊本震災後。そのひとつひとつを思い出して刺激にしています。

 私がゴルフを始めたのは、親のすすめで10歳のときでした。その頃は練習にしろ、試合にしろ、「上手くなりたい」「勝ちたい」という気持ちではなく、「親に叱られたくない」の一心でやっていました。好きじゃないのに続けていたのは、ゴルフを始める前は何をやっても勝てなかったのに、ゴルフだけは勝てたからですね。もし、ほかに人よりも優るものがあったら、そっちを選んでいただろうけど、私にはゴルフ以外の選択肢がなかったんですよね。

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