平成の名捕手・古田敦也氏が語った「マスク越しに見るプロ野球の世界」 (2ページ目)

  • photo by Akutsu Tomohiro

0.1秒短縮できたら1億円プレーヤー

 さらに、キャッチャーを指導する際のポイントもプレゼン。

「リードやコミュニケーション能力など、キャッチャーというポジションはやるべきことがいっぱいある」と古田氏は言うが、なかでも現役時代にもっとも考えていたことが"0.1秒の短縮"だった。

 この0.1秒は、盗塁阻止率に関する数字だ。ピッチャーが足を上げてからボールがキャッチャーに到達するまでおよそ1.3秒以内。また、キャッチャーが捕球し二塁に送球するまでが2.0秒以内。そのなかで0.1秒でも短縮し、盗塁阻止率を上げるために至った結論は、「どんな投球がきても(二塁への送球は)真ん中に投げるようにする」ことだという。

 キャッチャーというポジションは、地肩の強さに注目が集まることが多いが、それよりも送球の正確性が求められる。送球が逸れることによって走者へのタッチが0.1秒遅れてしまうのだ。

 盗塁を刺せるようになれば、ピッチャーに信頼してもらえるようになり、レギュラーをつかめる。そしてレギュラーとして活躍すれば、1億円プレーヤーにもなれる。古田氏が新人の頃、最初は「組みたくない」と言っていた投手が、盗塁を刺していくことで古田氏を信頼するようになり、サインに首を振ることもなくなったという。

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