再び厳しく美しき戦場へ。
「TOYOTA GAZOO Racing」
次のル・マンへの戦い

  • 写真提供:トヨタ自動車

 そうした、ひとつひとつの戦いを、最高のレベルで組み合わることができた者だけが初めて「勝利を争う資格」を得ることができる。逆の言い方をすれば、何かひとつ、ほんの少し欠けただけでも「脱落」を意味するほどに、今のル・マンは厳しい戦場になっている。そして、その緊張感が、あの24時間を、例えようもなく「美しい時間」にしているのだ。

 通算84回目を数えるル・マンの中でも、歴史に残る激戦となった今年のル・マン24時間レース。トヨタはその世界一過酷な戦場で誰よりも輝いて見えた。

「勝ちたい」という強い気持ちが、ドライバーからも、エンジニアからも、そして、ひとりひとりのメカニックからも炎のように立ち上がり、強力なライバルたちの挑戦を跳ね返す、最高の走りを、最高のレースを、最高のピットストップを積み重ねていった。

 だが、誰もが待ち望んだ勝利の瞬間まで残り「僅か3分」というところで、すべては「幻」と化してしまう......。突如、パワーを失い、コントロールライン手前で力なくマシンを止めた中嶋一貴の5号車。「トヨタ初勝利」の歴史的瞬間を待っていたサルテ・サーキットがどよめき、やがて凍りつく。

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