夏のスポーツにこそ、正しい食生活とアミノ酸が欠かせない (3ページ目)

  • text by Sportiva
  • photo by Ito Haruyo

──トップを目指すアスリートはもちろん、一般のスポーツ愛好家も含めて、管理栄養士としてのアドバイスをお願いします。

柴田 「心技体」という言葉がありますが、僕は"体"には食事や栄養のことが含まれていると思っています。"体"というと、トレーニングやケアといった体外からのアプローチばかりが注目されがちですが、カラダづくりには食事や栄養という体内からのアプローチも不可欠です。

 僕は現役時代から他の選手を見ていて、「この選手は食生活を変えれば、もっと伸びるんじゃないかな」と思ったことが少なくありませんでした。トレーニングやケアについては研究熱心なのに、食事となるとしっかり考えず、好きなものを好きなだけ食べ、なかには試合前にファストフードばかり食べる選手も珍しくありませんでした。

 でも、そうしたアスリートはケガが多く、満足に練習できなくなって、目標を達成できずに終わることがほとんどでした。まずは、食生活について考えましょう。自分自身で食について、カラダについて十分な知識を持つこと。そして、常に自分のカラダと対話し、状態を把握すること。自分のカラダのことは自分しかわかりません。

 スポーツするときには「アミノ酸が必須」という話をしましたが、いつ、どんなアミノ酸を、どう摂るべきかは人それぞれです。まずはバランスのいい食生活を心がけ、それにプラスしてアミノ酸を摂取することが大切です。プロテインを飲みすぎてお腹がいっぱいになり、食事がいい加減になっては本末転倒ですから、その点も注意してください。

──今年も暑くなりそうです。もう一度、夏に気をつけるべきことを教えてください。

柴田 大学2年生の夏、僕は大失敗したことがあります。レース本番の1週間前、キンキンに冷やした水を大量に飲んでしまったのです。普段ならそんなことはしないのに、気が緩んでいたのでしょう。胃腸をやられて体重が一気に2、3kg落ちてしまいました。結局、体調は完全には戻らないまま本番を迎え、チームにも大迷惑をかけてしまいましたが、いまとなってはいい経験だったと思います。

 大切なのは、そうした経験の積み重ねです。自分に合った食生活、体調管理法を確立することを目指し、アミノ酸も積極的に試してみるといいでしょう。 "勝負の夏"です。がんばってください。

■プロフィール■

しばた りゅういち 1983年、福岡県生まれ。小学校から水泳を始め、日大豊山高、日大からデサント入り。2008年の北京オリンピック競泳日本代表に選ばれ、バタフライ200mに出場。食事や栄養についてあまり詳しくないアスリートが多いことに気づき、引退後、栄養士の資格を取得。食の大切さを伝える活動を続け、2015年にはオリンピアンでは珍しい管理栄養士の資格を取得。2014年から人間総合科学大学に勤務。

>>アミノ酸の種類やタイプなど、より詳しい情報はこちら

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