速く長く走るために、なぜニューバランスのシューズが最適なのか (3ページ目)

  • 取材・文/輔老心 text by Suketake Shin
  • 撮影/村上庄吾 photo by Murakami Shogo

「かかと着地のフォームをバイオメカニクスでいうと、前に向かう運動の力を一旦止める働きがあるんです。ドンと地面にかかとを着いたときに、着地の衝撃でブレーキが効く。それを、もう一回、筋肉の伸張と収縮の力で蹴り直すことでリカバリーする。一歩ごとに『ブレーキ→アクセル(右足)』『ブレーキ→アクセル(左足)』と2行程を繰り返すムーブメントになるんです。一方、足裏をペタペタ使うバネ走法の着地は、接地時にブレーキがかかりにくいため、ロスが少ない。同じスピードで走るならば、楽に長く走れることになります」

 長距離を走るとなると、一歩一歩が積み重なって、大きな差が出てくる。ミッドフット走法の先駆者、Qちゃんこと高橋尚子が速いタイムを出せたのも、ランニングエコノミーが優れていたからなのだ。

ニューバランスシューズで走るランナーたち。自然とミッドフット走法にニューバランスシューズで走るランナーたち。自然とミッドフット走法に

「ちょっと前までのランニングシューズは、土踏まずの支えがしっかり入っていて、かかとには固いヒールカップが入ってホールド感が高かった。前後の地上高でいうと、指の付け根部分に比べてかかとが1cmほど高かった。まるで身長を高く見せるためのシークレットシューズのようでしたね」

 これは、ランナーならば、かかと着地が前提という考え方で、かかとがドスンと地面に着いたときに足首がズレない、ねじれない、歪まない、という点に主眼を置いたシューズ開発が行なわれてきたからだ。ところが……もしも、かかとを着かないとしたら──かかと周りの部品は外してしまえ、その分、軽量化だ!

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