速く長く走るために、なぜニューバランスのシューズが最適なのか (2ページ目)

  • 取材・文/輔老心 text by Suketake Shin
  • 撮影/村上庄吾 photo by Murakami Shogo

「同じスピードで走っているときに、どれだけのエネルギーを使っているかを『ランニング・エコノミー』といい、酸素消費量で計ります。これが、ミッドフット走法のほうが少なくて済むことが、実験研究の結果でわかっているんです」

 より少ない酸素の消費量で同じだけのエネルギーを取り出せる。その分、航続距離が長くなるというのだ。

「カンガルーを頭に浮かべてください。最初、カンガルーが歩いています。これが、途中からピョンピョンと速度を上げていっても、意外にも酸素消費量は変わらないんです。場合によっては、速度が上がるのに酸素消費量は落ちる個体までいます。なぜ移動する速度が上がるのに酸素消費量が変わらないのか、見当がつきますか?

 それは『筋肉』ではなく『腱(バネ)』を使うからです。筋力で地面を押して移動していると、エネルギーを使うために筋肉にたくさんの酸素を送る必要がある。ところが、カンガルーはある程度の速度まで達すると、筋力ではなく『バネ』を使います。

 バネとは、伸び縮みする筋肉ではなく、腱のことです。引っ張られて歪み、元に戻ろうと反発力を発生させる。腱を使うと、筋力を使わなくていいので、酸素を送らなくていい。酸素消費量が減る。そうすると、エネルギーは長持ちするし、脚が疲れにくいんです」

 まさに、ミッドフット走法は、脚の筋肉ではなく、脚の腱を使う走法だったのだ。長谷川教授は続いて、ヒールコンタクト走法の最大のデメリットを語った。

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