ニューバランスが、ランニングシューズの流れを変えた (6ページ目)

  • 取材・文/輔老心 text by Suketake Shin
  • 撮影/村上庄吾 photo by Murakami Shogo

 この時流を受けて、ニューバランス本社もゴーサインを出した。「かかとの衝撃吸収はそんなに必要ない。前後がフラットに近いフォルムのランニングシューズを作るんだ」

 高橋尚子の走法にインスパイアされた日本の研究が、アメリカのニューバランス本社を動かして、現在主流となっているフラットなモデルを導き出したのだ。2016年に発売される、ニューバランスの最新モデル「FRESH FOAM ZANTE v2」では、かかと部分は、指の付け根部分に対してわずか4mm高いだけになっている。

 では、なぜ高橋尚子のようにペタペタ走る「ミッドフット着地」は速く走れるのか。その理由については、次回に解説しよう。
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プロフィール
長谷川 裕 (はせがわ ひろし)
1956年生まれ。京都府出身。79年筑波大学体育専門学群卒業。
81年広島大学大学院教育学研究科博士課程前期修了。
現在、龍谷大学教授としてバイオメカニクス、機能解剖学、トレーニング理論、
エクササイズテクニック実習などの科目を担当し、研究活動を行なう。

龍谷大学サッカー部部長・監督(88年~)、名古屋グランパスエイトコンディショニングアドバイザー(2004~08年)。本田技研工業ラグビー部Honda Heatスポーツサイエンティスト(2008~2011)。スポーツ科学計測テクノロジー・S&C Corporation代表。

著書に「IOC hand book-strength training for athletes-」「サッカー選手として知っておきたい身体の仕組み・動作・トレーニング」(ナツメ社)など多数。

JATI認定特別上級トレーニング指導者(JATI-SATI)、JATI理事、JATI調査・研究委員会委員長。日本トレーニング指導学会世話人代表。

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