ゲイを公表するダンサーkeijiro。「普通じゃない」と言われ、笑われた過去からD.LEAGUEで活躍するまで (3ページ目)

  • text by Sportiva
  • 石川高央●撮影 photo by Ishikawa Takao

 勇気をもってカミングアウトし、自信をもらえた過去の経験から、keijiroはダンスを通して、その思いを感じ取ってほしいと願う。そしてその思いはBenefit one MONOLIZのベースにもなっていると感じられる。さらにチームとして伝えたいものもある。

「レギュラージャッジのテリー伊藤さんが、モノリスを評価する時に、『美と退廃』という言葉を使われたんです。これまで自分たちのなかでは、共通したニュアンスがあったんですが、言葉で表現してもらった時に、腑に落ちたんですね。まさにこれだと。それを貫き続けることが、ファンの皆様に感動や影響を与えられるんじゃないかなと思います」

 Benefit one MONOLIZは、約2週間に1回、新しいダンスを披露するD.LEAGUEを戦うなかで、時には1日約8時間、ヒールを履いてダンスの練習をすることもある。激しい動きの連続で、足が悲鳴を上げそうになることもあるが、そんなハードな日々でもkeijiroは幸福感を覚えている。

「自分が自分でありながら踊れる。しかもD.LEAGUEという大きい舞台で、めちゃくちゃ注目されるなかで踊れている。責任を与えられている環境のなかで、みんなが団結して目標に向かっている。そういうメンバーにいて、すごく幸せだなと思います」

 D.LEAGUEの多くのチームは、男性と女性の混成チームとなっている。時には荒々しく、時にはしおらしくと、表現者の持つ幅や感性がそのまま生かされるのが、ダンスの一つの側面だ。keijiroのように「男性でも女性でも、何にでもなりたい」という人には、まさに最適な場と言えるだろう。keijiroも「人にお勧めするなら、自分のあり方をはっきり認識できるので、ダンスを勧めます」と語る。

 自分の生きる道を見つけたkeijiroだが、今でも生きづらさを感じることはある。そして自分と同じゲイをはじめとしたLGBTQ+の人が多いこともわかっており、そんな人たちが生きやすい未来になることを願っている。

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