新井恵理那が語る高校弓道部での青春。主将としての苦悩、後輩ふたりの活躍に涙 (4ページ目)

  • 都丸優子●文 text by Tomaru Yuko
  • 佐野隆●写真 photo by Sano Takashi

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【指が裂けたり、手がマメだらけ】

――「弓道部あるある」があったら、教えてください。

新井 学校によると思いますし、今はないのかもしれませんが、"あたり鳴き"というのがありまして。的の近くの小屋で人が待機をしていて、的にあたった時に「たーーりーー!」と大きな声で、何十秒も伸ばしながらあたりを知らせる伝統があるんです。その練習では、すごーく遠くに先輩がいて、合図を出されると「たーーりーー!」って叫ぶんです。声が小さいと「もう1回!」って叱られました。かなり体育会系だなって気がします(笑)。

 高校時代は、弓を持って電車に乗ることもありましたが、けっこう危険なんです。真っすぐ持ったままだとドアにぶつかってしまうので、乗る時に上部を少し下げて入れてから、頭上の手すりに引っかからないようにと、扱いに注意が必要でしたね。

 あとは、指のいろいろなところが裂けます。つのみといって、弓を持つ親指の内側に圧をかけて弓にひねりを与えていくんです。そうするとバン!と勢いよく離れて矢が真っすぐよく飛ぶので、みんな親指の付け根が裂けていました。弓道をやるとほとんどの人が通る道で痛いんですけど、血が出ても練習していました。それに、手がマメだらけになったり。冬は寒さでかじかみますし、なかなか辛いです。

――道場は、夏は暑く、冬は寒さが厳しいようですね。

新井 まさにその通りで、けっこう過酷なんですよね。室内のように見えるかもしれないんですけど、矢道(やみち)とつながって屋外なので、冬は凍てつく寒さの中、震えます。夏は汗が滴るし、そういったところで集中が途切れないように精神面も鍛えていました。ちょっとでも精神的にブレると射につながるので、なかなか過酷だと思います。

【周囲を気にせず、1点に集中するのが仕事との共通点】

――集中力を高めるためには、どういうことをしていましたか。

新井 練習して自信を持つことが大事だと思っています。いろいろなことが気になると集中できないと思うんですけど、これってどうだっけ?という疑問や、気になることが解消されると、気にせずにできると思うんですよね。気になることをひとつひとつ解消して、試合に臨めていれば、もっと集中しやすくなると思いますし、的と自分だけの空間になると思うんですけど、それが難しい。

――弓道が、お仕事に役立っていると感じることはありますか。

新井 似ているとは思いますね。カメラと私、みたいなところです。周りの環境に違いはあれど、一点に集中する時間もありますし、そういう部分では似ているのかもしれないですね。

――セント・フォース弓道部、期待の新入部員・森千晴さんとは『グッド!モーニング』でも共演中ですね。

新井 かなり刺激を受けますね。番組でも一緒なので、不思議な感じはしているんですけど、パートナーというか同士というか、仕事の枠を越えた関係があると思います。堂々としているし、タフでしっかりしているので、頼もしい限りです。

――最後に、今後の目標を教えてください!

新井 今は『体育会TV』の弓道部のみんなと、全国大会に出ようと頑張っています。いつになるかわかりませんが、そのためにコツコツ練習を重ねていきたいなと思っています。

 キャプテンとしては、学生のころのように厳しい自分でいられないのですが(笑)。自分がいることで安心してもらえるような、心の支柱になれたらいいなと思います。みんなを励まし、私も堂々と自分の射をすることですね。

Profile
新井恵理那 あらい・えりな
1989年12月22日生まれ。アメリカ・カリフォルニア州出身。
現在は『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)のキャスター、『新・情報7daysニュースキャスター』のお天気キャスターなどで活躍。2020年テレビ番組出演本数の女性タレント部門ランキング2位に輝く。さらに、『炎の体育会TV』では、セント・フォース弓道部の主将として、全国大会に向けて奮闘中。

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