土屋太鳳が考えるシアワセの形。シンデレラのような結婚はできない!? (3ページ目)

  • 都丸優子●文 text by Tomaru Yuko
  • 佐野隆●写真 photo by Sano Takashi

強すぎる欲が人を変えてしまう

 イケメンでやさしい医師の夫とかわいらしい娘、大豪邸での裕福な生活。小春は、周りの友人たちがうらやむような幸せを掴んだはず、だった。しかし真面目な性格ゆえに、完璧な母親像を目指し、次第に追いつめられていく。ハッピーオーラ全開のダンスシーンを境に、まるでジェットコースターが急降下するように、物語は一気に妖しさを増し、ダークな雰囲気へと突入する。

「幸せって、すごく難しいですよね。ごはんと同じで、高級なものだから必ずおいしいというわけではないし、誰とどういう会話をしながら食べるかで、幸福度は変わるじゃないですか。たとえば、ひとつのチョコをふたりで半分ずつにして、おいしい紅茶と一緒に"おいしいね"って言いながら食べるのと、本当はひとりで1個全部ほしかったのに、仕方なく半分ずつにして微妙な気持ちで食べるのでは、同じ半分のチョコでも幸福度は違いますよね。この作品を見て、危ないのは"欲"だなと思いました」

 欲が深すぎると、自らを見失い、危険な世界へと足を踏み入れてしまう。小春も、ただ幸せを手に入れることを夢見ていただけだった。理想とする幸せの形は、環境や年齢によっても違い、昨今のコロナ禍で幸せへの価値観も様々に変化しつつある。そんな中で、土屋さんが今考える幸せとは「大切な人と過ごす時間」だという。

「人は、ひとりじゃ生きられないなって思います。だから家族と話す時間を大切にしたいし、この作品を見て、幸せとか愛することを考えるきっかけになったらいいなって。やっぱりみんな、自分のことを見てほしかったり、褒めてほしかったり。そう思いながら生きていると思うんです。この映画を機に、誰かと会話がつながってほしいですね」

Profile
土屋太鳳(つちや・たお)
1995年2月3日生まれ、東京都出身。
Netflix『今際の国のアリス』配信中。今後は映画『るろうに剣心 最終章The Final』(4月23日)、映画『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち』(5月公開予定)、映画『大怪獣のあとしまつ』(22年公開予定)

(C)2021『哀愁しんでれら』製作委員会(C)2021『哀愁しんでれら』製作委員会
映画『哀愁しんでれら』(2月5日公開) 

脚本・監督:渡部亮平
出演:土屋太鳳、田中圭
配給:クロックワークス

尾曲いずみ●ヘアメイク
藤本大輔(tas)●スタイリング
EZUMi、PLUIE、JIMMY CHOO●衣装協力

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る