土屋太鳳が考えるシアワセの形。シンデレラのような結婚はできない!?

  • 都丸優子●文 text by Tomaru Yuko
  • 佐野隆●写真 photo by Sano Takashi

@土屋太鳳インタビュー

幸せを追い求めた女性が、社会を震撼させる凶悪事件を起こすサスペンス映画『哀愁しんでれら』。

映画『哀愁しんでれら』に主演した土屋太鳳さん映画『哀愁しんでれら』に主演した土屋太鳳さん

 この映画で土屋太鳳さんが演じるのは、児童相談所で働く26歳の福浦小春。幼いころに母親が家出し、父、祖父、妹の4人で平穏な生活を送っていたが、祖父が倒れたことを発端に、不幸の連鎖に見舞われる。そんなときに、8歳の娘・ヒカリ(COCO)を男手ひとつで育てる開業医の泉澤大悟(田中圭)と出会い、1ヶ月後には結婚。

 不幸のどん底から一気に幸せの絶頂へ!と、まさに絵に描いたようなシンデレラストーリーのはずだったが、小春の人生は結婚を機に変貌を遂げていく。

主人公が「私に魂を吹き込んで」と泣いているような気がした

 実は、土屋さんはこの映画への出演オファーを三度断り、四度目で、ついに決意した。

「監督やプロデューサーさんとお話しして、改めて台本を読み直したときに、小春が"誰か私に魂を吹き込んで"と泣いているような気がしたんです。それに、私の中で大悟役が(田中)圭さんにぴったりハマったので、圭さんが演じるなら、私も小春として生きられるかもしれないと思って決めました」

 最初に台本を読んだときは、嫌悪感と疑問からのスタートだった。そんな主人公・小春をどのように理解して、自身を重ねていったのだろうか。

「小春は、幸せになりたいと願う普通の女の子。普通でいることって、幸せになることと同じくらい難しくて、努力しないといけないのかなって思うんです。だって、学校や職場で自分の感情を思い切り出していたら、普通ではいられないじゃないですか。みんな、どこか我慢をして自分を押し殺して、普通を保っている。そういう部分を今まで演じてきた役を通して実感していたので、その繊細な部分や、普通だから我慢している感情を生かそうと思いました」

 中盤、婚姻届を提出した後、家族になった小春と大悟、ヒカリの3人のダンスシーンが印象的だ。土屋さん演じる小春は、大悟と結婚した喜びやふたりへの愛情を、しなやかに全身で表現している。

「台本を読んだときに、ダンスシーンがあるんだ!って驚きました。撮影のときは、あまり時間がなかったんです。ここを合わせておけば、きっと上手くいく!というポイントになる部分を圭さん、COCOちゃんと合わせて何度も練習しました」

 夕暮れの海辺の公園で繰り広げる3人の息が合ったダンスは、美しく微笑ましい。このシーンの撮影で、3人の仲も深まっていった。ヒカリが大悟の頬にキスをするのは、なんとアドリブ。土屋さんは「COCOちゃんのチューが、かわいかった~。圭さんの人柄が彼女の心を開いたんだと思います。COCOちゃんもすばらしかったです!」と、そのシーンを思い出して目を細める。

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