『キャプテン翼』が連載開始から40年。鷲見玲奈が高橋陽一に聞く作品秘話

  • 伊藤 亮●文 text by Ito Ryou
  • 細野晋司●撮影 photo by Hosono Shinji

鷲見 『キャプテン翼マガジン』では、オリンピックで金メダルを目指す最新シリーズ『ライジングサン』が連載中です。作品中のマドリッドオリンピックでは、日本が準々決勝まで進んで、遂にドイツ戦が日本の勝利で終わりましたね。もう選手みんながボロボロです。救急搬送される選手も続出で「大丈夫?」と心配になります。

高橋 そうですね。決勝戦みたいでした(笑)。それこそ、南葛中対東邦学園の決勝戦に負けないように、という気持ちで描きました。

鷲見 気になるのは今後です。これだけ衝撃的な熱戦の後になりますが、読者のみなさんが気にするところだと思います。

高橋 僕もどうしようか、と思ってます(笑)。でも、計算はしています。話のベースはなんとなくありますが、実際に描いていくとそれこそ南葛中対東邦学園みたいに変わっていったりするので。自分でもどうなるのか、楽しみにしているところはあります。

鷲見 それこそ、際立たせたいキャラクターなど構想はありますか。例えば、石崎(了)くんは翼くんが引っ越してきて以来ずっといっしょですよね。気づけばオリンピック代表にまで上り詰めていて。SB(サイドバック)としてディフェンスだけでなく、今や攻撃でも貢献できるようになっているところに成長を感じています。

高橋 石崎はたしかに成長していますよね(笑)。準決勝に関しては、対戦するスペインにミカエルというキャラクターがいます。ずいぶん前から登場させているので、彼の魅力をいかに出せるか、を考えています。スペインらしいサッカーも描きたいと思いますが、まずは純粋に翼とミカエルの1対1を描きたいですね。

鷲見 例えば日本のテレビ中継だと、どうしても日本寄りの放送になります。一方で、先生の作品は日本と対戦する海外のチームや選手も魅力的に描かれるのがすごいです。スペインを描かれるのは初めてですが、ここまで温存していたのですか。

高橋 決してそういうわけではないです。ただ、スペインのリーガは一番好きなリーグなのでずっと見ていますし、ワールドカップや欧州選手権(EURO)で優勝して結果も残しています。もともと注目されていましたが、最近は特に注目されるようになりましたから。

鷲見 現在はオリンピックでの激闘を描かれていますが、今後の構想まで考えられていらっしゃるのでしょうか。翼くんが監督になるとか、もしくは、今早苗ちゃんが双子を宿していますが、子どもたちが成長していく姿を描きたいといった構想は?

高橋 構想があるわけではないのですが、たしかに翼くんの子どもたちはサッカーしそうですよね。翼と岬を超える、すごいコンビになりそうです。翼には弟の大地くんもいますから。大地がちょっとベテランに差し掛かる頃に、双子がチームに加わってきて...。かなり強いことになりますね(笑)。

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