『キャプテン翼』が連載開始から40年。鷲見玲奈が高橋陽一に聞く作品秘話 (3ページ目)

  • 伊藤 亮●文 text by Ito Ryou
  • 細野晋司●撮影 photo by Hosono Shinji

鷲見 いただいた感想の中で意外に感じたものなどはあるのですか?

高橋 今連載中の『ライジングサン』の第2話で、翼が所属するバルセロナの優勝パレード中に、みんなで翼の家に回って早苗ちゃんに会いに行くシーンがあるんです。そこが好きだと、中村憲剛さんが対談した時に言っていて。サッカー選手で家族がいる立場ならではの視点なのかなと。それぞれの立場で読むと、また違った感慨があるのかもしれません。

鷲見 (中沢)早苗ちゃん、翼くんと結婚したんですよね。一方で今読み返すと時代を感じることもあります。小学生の時の全国大会の準決勝で、武蔵FCの三杉(淳)くんが、心臓病のことを翼くんには黙っていたのに、マネージャーが伝えていたことがわかってマネージャーの頬を叩きますよね。読み返して驚いちゃいました。

高橋 現在だったらそのようなシーンはないでしょうね。たしかに描いていた当時の時代性が作品には現れているのかもしれません。

鷲見 マネージャーといえば、女の子のキャラクターもたくさん登場します。少し控えめなキャラクターが多い気がするのですが、先生の好きな女性像が描かれていたりするのでしょうか。心なしかショートカットの子が多い気もするのですが。

高橋 武蔵FCマネージャーの(青葉)弥生ちゃんはロングですけどね。でも、たしかに当時、ショートカットは好きだったかもしれない(笑)。描いている時の自分の想いに引っ張られることはあります。

鷲見 選手から女の子に至るまで、様々なキャラクターが次々と生み出されています。例えばライバルキャラクターの誕生秘話などはあったりするのでしょうか。

高橋 まず大空翼という主人公がいて、ライバルとして闘わせたらおもしろくなりそうなキャラクターを考え続けて増えていった感じです。FWの翼に対してGKの若林、柔の翼に対して剛の日向、というように。さらに家庭環境なども対比的にしたり。同じ天才でも三杉は少しハンデを持っているとか。その連続で「次、翼と対戦させるとしたらどのタイプがおもしろいかな」と考えていきます。

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