世界一の相撲ガールがADに。野﨑舞夏星はディレクター目指して奮闘中 (3ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 佐野隆●写真 photo by Sano Takashi

 入社してからこれまでに一番大変だったと語るのは、この夏に『SーPARK』で放送された「もうひとつの『2020夏 僕らの甲子園。』」 栃木県・作新学院女子硬式野球部、を手掛けたこと。同期の女性とともに初めてディレクターとして制作した。

「初めて挑戦した企画でした。6月ぐらいから部員の女の子たちに密着取材をして、オンエアしたのが9月だったんです。3カ月ちょっと取材していたのですけど、自分が主導で取材に行くというのが初めてだったので、右も左もわからないままスタートした感じでした」

 不安の中で始まった企画だったが、取材先の作新学院高校は女子野球部の監督をはじめ部員の子たちがみな協力的で、コロナ禍での取材で制限もあったが取材自体はスムーズに行なえた。

「それでも、毎日ではないですが3カ月間密着したものをひとつのVTRにまとめるのは、まず構成を考えるのが大変でした。あとは落としどころがなかなか決まりませんでした。本当は甲子園と同じような大会が女子野球にもあって、夏に開催されるはずだったのが一度は10月に延期にされることになったんです。

 それで10月にオンエアする予定でしたが、その大会も9月に中止が決まり、終着点がないというふうになってしまって。結局、関東女子硬式野球連盟が代替大会を開催することになって、それを終着点にすることはできました。

 コロナによっていつ何があるかわからないという状況で、明日すぐとか今日すぐ取材に行かなきゃいけないということに対応したり、瞬時にあらゆることを判断したりというのがすごく難しかったです。いろんな先輩からアドバイスをもらってボロボロになりながら、何とか放送できました」

  学生時代の"取材される立場"から、今は"取材する立場"に変わったが、取材されていた経験が取材する時に役立つことはあるのだろうか。

「まだ実現はできていないですけど、自分が聞かれたら嫌だなと思う質問や、自分が答えやすい質問の仕方って何だろうというのは常に考えています。でも、まだまだ勉強中です。

 それに、番組としていいものを作りたいというなかで、アスリートのみなさんに嫌と思われても聞かなければいけないことが出てくるかもしれない。そういった葛藤もいずれ出てくるかなと思っています」

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