EURO開催にも懸念。サッカーがテロリストの標的になる理由

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】スタジアム・テロの現場(後編)

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 現代で初めてスポーツにからむテロが起こったのは、1972年のミュンヘン・オリンピックだ。衛星放送の発達により、パレスチナのテロリストがイスラエル選手団を人質に取った様子を世界中の人々が目の当たりにした。11人のイスラエル人が殺された。スポーツを狙えばプライムタイムのテレビが映してくれることを、世界中のテロリストが学んだ。

11月13日、スタッド・ドゥ・フランスのピッチに避難した観客 photo by AFLO11月13日、スタッド・ドゥ・フランスのピッチに避難した観客 photo by AFLO 最近、サッカーの大きな国際大会では過剰なほどの警備が行なわれる。今のところ大きな事件は起きていないが、パリのスタッド・ドゥ・フランスの近くで起きた今回の自爆テロや、その4日後にハノーファーで予定されていたドイツ─オランダ戦がテロへの懸念から中止になる前にも、実は危険な事態になっていたことはあった。

 計画段階で抑えられた最も大きな事件も、フランスでのものだった。1998年にワールドカップがフランスで開幕する2週間ほど前、ヨーロッパの警察当局は大会を狙ったテロ計画を突き止め、7カ国で約100人を逮捕した。

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