「パリ五輪ではメダルが獲れるという自信がついたのでは」東京五輪で玉井陸斗が示した素質の高さと今後の課題 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

【課題は入水】

 しかし、馬淵コーチは世界の上位で戦うためには、まだまだ入水前の体の伸ばしと、入水の感覚や精度をもっと上げるのが課題だと言う。

「彼の場合は演技の前半部分は非常にいい演技ができていますが、後半の安定と入水の仕方や感覚などに問題があり、不安定な動きになっています。今は入水部分が大きな採点要素になっていて7~8割はそこが点数に反映されているので、いかに体を伸ばして飛沫を立てないように入水するかが非常に大切です」

 それでも難易率3.7の109C(前宙返り4回転半)を最高に、6種目の難易率合計が21.1というのは、東京五輪優勝のガオ・ユアン(中国)や、3位のトーマス・デイリー(イギリス)などの上位選手と比較しても、同じか上回るくらいのトップレベル。14歳にしてそこまで高い難易率の種目構成を組めること自体が、彼の素質の高さを物語っている。

 これまで寺内とともに五輪のメダル獲得を目指して戦ってきた馬淵コーチは、五輪のメダルへの思いを、「獲れるまでやりましょうか。メダルなくしては辞められないですから」と冗談っぽく笑う。その言葉には「玉井でメダルを」という気持ちもにじみ出る。

 そんな玉井の新たな第一歩は、今年5月に福岡で開催される世界水泳でのメダル獲得だ。2001年に同じ福岡で開催された世界水泳では、尊敬する先輩の寺内が3m飛び板飛び込みで、世界水泳飛び込み競技日本初のメダルとなる、銅メダルを獲得している。

 それに続く結果を出すのがパリ五輪へ向けた玉井の第1歩目の目標だ。

(第7回:森敬斗(プロ野球)「今のままでは行き詰るよ」>>)

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