金メダル獲得へ大橋悠依に平井コーチが授けていた作戦。リオ五輪金の萩野公介の泳ぎから伝えていたこと (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

「リオ五輪で萩野公介が、自由形が強いカリシュ・チェイス(アメリカ)や瀬戸大也に勝つにはどうしたらいいかを考えた時に、前半は落ちついて入らせ、平泳ぎから最後の自由形に入る300mのところからの50mで差を縮められないように伝えたんです。

 結果的には0秒7差での優勝でしたが、300mから350mをグッと追い詰められてターンするのと、距離を保っていくのとでは、追われるほうも追うほうも気持ちが違う。萩野は、そこでわずかしか詰められなかったし、『最後に体力を残してなどといっても、そうそう残っているのもではない』というようなところも、大橋にはリオのあとからよく話していました」

 決勝の最初のバタフライと背泳ぎも予選より少し遅く、3位と2位で折り返した。それでも大橋に焦りはなかったという。

「決勝は朝だったので、昨日と同じか、むしろ少し落ちてもいいから落ちついて200mまでは行こうと思っていました」

 そして平泳ぎに移ると大きな伸びのある泳ぎで、予選よりラップタイムを2秒ほど上げる1分16秒41で泳ぎ、2位との差を1秒99に広げた。そしてポイントと見ていた300~350mは0秒07広げる攻めの泳ぎをした。最後は詰められたものの、その作戦が功を奏して4分32秒08で金メダルを手にしたのだ。

「アップの時もすごく緊張していたけど、平井先生に『順位もタイムも気にしなくていいから。自分のできることを全部やれば大丈夫』と言ってもらえたので、自分のペースを守って自分のレースをするということだけを考えて入場しました」

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る