2020.12.08

ネガティブなスイマーが五輪で金メダルを獲るまで。金藤理絵の長い苦闘

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

 この世界選手権後から金藤はスタイルを変えた。彼女の持ち味でもあった持久力を前面に出した大きな泳ぎで勝負する形から、ピッチ数を上げて前半からスピードを上げるようにしたのだ。

 そのスタイル変更が16年2月の3カ国対抗戦(オーストラリア)での2分20秒05の日本記録につながり、さらに4月の日本選手権では2分19秒65にまで伸ばした。

 その記録は世界歴代5位ながら、16年の世界1位で、2位のユリア・エフィモワ(ロシア)を1秒76上回るダントツの記録。優勝候補の筆頭と目され、リオ五輪に臨むことになったのだ。

 しかしリオ五輪本番は、不安を感じさせる出だしになった。予選は2分22秒86で2位通過。「2分20秒台を出して他の選手にプレッシャーを与えたい」との思惑があった準決勝も2分22秒11での2位通過にとどまった。

 加藤コーチは準決勝の金藤の泳ぎをこう評価した。

「準決勝はキックがかかっていなくてダメだった。普段の試合間隔だと準決勝は予選の泳ぎを体が覚えているが、今回は9時間も空いたのでその感覚がなくなってしまった。『大きく、速く、強く』というのが崩れてしまったから、決勝前のウォーミングアップはいつもなら1000mくらいの泳ぎを、3000mやらせました。それでもなかなかよくなってこなかったので『これではだめだ』と思い、最後に25mを思い切り泳がせると、やっとキックが効くようになった」