2020.06.23

「やっちゃった」。鈴木聡美が自分でも驚いた日本競泳女子初の偉業

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

 100m平泳ぎの銅は、まさに無欲のメダル獲得といっていいだろう。しかし、鈴木はそれに満足することなく、初めての五輪を存分に楽しもうという気持ちのまま次の200mに挑んだ。

「自分では100mの方が強気だったのですが、神田忠彦コーチからは『200mの方が行けるんじゃないか』と言われていました。100mはまさかの銅だったので、200mではその言葉を信じて、引き続き自分の泳ぎを心がけました」

 そう話した200mは、北京五輪を2分20秒22で制したソニがダントツの優勝候補として君臨し、他の選手が彼女に挑む構図だった。大会前の世界ランキングで2位だった鈴木もそのひとり。しかし、鈴木より0秒77速い2分22秒22で11年世界選手権2位を獲得したユリア・エフィモワ(ロシア)や、全米選手権2位のマイカ・ローレンスら強豪選手もいた。

 ソニは準決勝で2分20秒00を出し、世界記録を更新。対する鈴木も、予選3位のあと、準決勝で自己新記録の2分22秒40を出して3番手に入る好調ぶりだった。一方、予選で自己ベストを大幅に更新し、2位通過したリッケ・ペデルセン(デンマーク・現世界記録保持者)が準決勝でも2分22秒23と鈴木を上回る勢いを見せた。4位で決勝進出のエフィモワも2分23秒02まで上げて表彰台を狙っていた。

 200mの決勝は、鈴木が自分の泳ぎに集中できたという100mの時の1レーンとは違い、ソニが隣にいる3レーンだった。