2020.06.23

「やっちゃった」。鈴木聡美が自分でも驚いた日本競泳女子初の偉業

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

 前半50mは、予選と準決勝より0秒2以上速い31秒39で入ったが、折り返しは6番手と劣勢だった。そこから先はきつい練習の成果が出た。以前から前半型で後半に失速するレースパターンが多かった鈴木は、大学で後半のスピードを上げるためにトレーニングを積み重ねてきた。

「折り返してから隣のジョーンズ選手が少し視界に入りましたが、最後の25mは一切周りを見ずにとにかく死に物狂いで泳ぎました。1レーンは不利だと思うかもしれませんが、『自分のレースに集中できる』と考えて泳げたのがよかったと思います」

 後半は、先行していたメイルティテとソニに突き放されたが、ふたりに次ぐ35秒07のラップライムで泳いだ鈴木。4位に0秒47差をつける1分06秒46で、3位に飛び込んだのだ。

 この歓喜の瞬間から遡ること4年の08年。高校3年だった鈴木の高校ランキングは100m、200mとも9位だったが、その才能は山梨学院大に入ってから飛躍的な成長を遂げた。鈴木はこう振り返った。

「4年前は(五輪の)表彰台なんてまったく想像できませんでした。高3で日本選手権に出場することができて、準決勝進出や自己ベスト記録の更新をしましたが、トップクラスの先輩たちを見てただただ『すごいな......』と思うだけでした」