2020.06.02

萩野公介、衝撃の五輪デビュー。
「怪物」「超人」との壮絶な戦い

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

 次の第4組はフェルプスが1位だったが、タイムは4分13秒33と意外な結果になり、最後の第5組に出たロクテは、予選通過だけを意識する泳ぎで4分12秒35だった。

 トップタイムで決勝進出を果たした萩野だが、「記録は日本新だけど、あくまでも自己ベストと捉えて、決勝でも更新できるようにしっかりと頑張ります。最後の自由形は少し余裕があったので、決勝ではもう少し上げられると思います」と、夕方の決勝へ向けた高揚感を抑えるような、冷静な表情で話した。

 決勝で、萩野はシードレーンの4レーン、3レーンにロクテ、予選8位通過のフェルプスは8レーンに立った。最初のバタフライでトップに立ったのはロクテ。フェルプスが持つ4分03秒84の世界記録のラップに0秒10遅れるだけの55秒02。2番手で100mを折り返したのは55秒35のフェルプスだった。それに対して萩野は、最初の50mは予選よりも速い26秒66で入り、100m折り返しは56秒77で、この段階では6番手。決勝では、やはり全員が勝負を仕掛けてきていた。

 次の背泳ぎはロクテの得意泳法で、2位以下との差を一気に広げ始めた。萩野も得意にする泳法で、フェルプスをわずかにかわしてロクテまで2秒32差の2番手に上げた。

 3泳目の平泳ぎで抜けだしたロクテが優勝をほぼ確実にすると、2位争いは、追い上げてきたチアゴ・ペレイラ(ブラジル)とフェルプス、萩野が僅差で競り合う接戦になった。300m通過ではペレイラが2位で抜け出し、1秒58差で萩野。それをフェルプスが0秒22差で追う態勢で、最後の自由形に入った。