萩野公介がモヤモヤを解消し復活。
今後について「わくわく感がある」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 二宮渉●写真 photo by Ninomiya Wataru

 休養中には水泳とは関係なく、ヨーロッパに一人旅に行って自分を見つめ直した。練習再開は、5月になってからだというが、以前のように1日2回の練習を始めたのは、この大会の2週間ほど前からだという。

 そうした状況で復帰戦を国内大会ではなく、海外の強い選手も出場するワールドカップにしたのは、レベルの高い記録で泳ぐ選手たちとレースをすることで強い刺激が欲しかったからだろう。自分が戦うべき場所は、こういうレベルのところだということを今の自分の体にも教え、現在の自分の立ち位置を確認して再スタートしたかった。

 そんな現在の自分の状態をこう説明する。

「正直、2月のコナミオープンまでと、今では土台の種類が違っていると思います。あの頃出ていた試合では、無理やり頑張っていたベースなんです。でも、それから自分の体を見つめ直したり、リハビリをする時間を取ったので、体の使い方も違ってきている。

 ヒジのリハビリやあまりよくなかった肩の調子も、ちゃんと調整してから積み上げている感じです。ちゃんとした体の使い方でやっていかないと、結局は止まってしまうところが来る。

 僕の場合はそんなに筋力もないので、力んだ泳ぎをしていくと、200m個人メドレーで1分53秒が出るかと言われたら出ない。いいフォームで、いいところを使うことで1分54秒や53秒は見えてくると思う。だからこそ、ちゃんとした体の使い方で泳ぎ始めるというのを意識しています」

 この発想になったのは、練習を再開した5月下旬ころからだったという。今回の泳ぎは予選も決勝も以前のような丁寧さよりも、少し粗さがあった。だが、その粗さも萩野が久しぶりのレースを楽しんでいる自然体のように感じた。

「前より全然違和感のない泳ぎが、僕の中ではできていると思います。それに少し違和感があっても、そこをどうすればいいかなというのをわかって泳げている。前までは『なんで肩ばかりに力が入ってしまうんだろう』とか、『どうやって泳いだらいいのかわからない』という感じだったけど、少しずつ『上半身に力が入りやすいということは、ここが悪いからだ』など、自分の中で理解しながら修正できるようになったかなと思います」

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