2019.07.30

露わになった日本競泳陣の課題。
女子強化と若手の発掘が急務だ

  • 松田丈志●文 text by Matsuda Takeshi
  • photo by Kyodo News

 これは極端な考えだが、これから本番まで「日本代表候補300日合宿」くらいやってもいいのではないか。実際に競泳界でも現在結果を出しているカナダチームは、大学を拠点にして若い女性選手を集め、日常のトレーニングから代表チーム主導で強化して結果を出してきている。東京五輪に向けて手遅れになる前に、大胆な強化策を期待したい。

 平井コーチは今後の強化プランとして、「9月にミーティングの合宿で強化コーチ会議をやり、そのあと長野県東御市の高地に集まって合宿を予定している。東御市で10月の終わりから12月ぐらいまでナショナルチーム合宿で集まってやり、あとは海外の合宿も考えている」と話す。

 さらに、「若手の発掘、強化が遅れていると感じる」とも話した。今大会海外勢では、男子200mバタフライ世界記録で金メダルのクリストフ・ミラークや女子400m自由形で女王ケイティ・レデッキー(アメリカ)を破って金メダルを獲得したアリアン・ティットマス(オーストラリア)、女子200m背泳ぎを世界記録で優勝したレーガン・スミス、女子100mバタフライでサラ・ショーストロム(スウェーデン)を破り優勝したカナダのマーガレット・マクニールなど、2000年〜2002年生まれの選手隊の活躍が目立った。10代の彼らがもう世界の頂点に立っているのだから、日本の若手選手も「まだまだ自分たちは若い」なんて考えずに、どんどんトップを狙っていって欲しい。

 今回のトピックスでは、ビデオ判定システムの導入もあった。これまで競泳はプールの上から各レーンのスタートサイド、ターンサイドそしてプールサイドから審判員が目視で選手の動作に違反がないかチェックしていた。これまでは違反を取るのは審判員の目視で、その場の判断でしか取れなかった。しかし、今大会からは目視で疑わしい動作があった場合、レース中に水中から録画し続けている映像をレース中またはレース後に確認して審判員が判定するようになった。大きな違いは、全てのレースの映像が残っているため、審判員は自分の目視だけで判断する必要がなく、疑わしい動作が見られた場合、すぐにビデオ判定を活用できるようになったことだ。

 これまでは「疑わしきは罰せず」という気持ちで見ていた審判員が、「疑わしきはすぐにビデオ判定でチェック」というふうになったことが大きな違いだ。そのため今大会は、今まで以上に失格を取られた選手が多かったし、競技進行中、ビデオ判定の審議のために時間が使われるシーンも多く見られた。これまでの大会では失格を取られた選手はその国が抗議をするのが通例だったが、これからは抗議をしても映像に残っていれば、判定が覆ることはないだろう。より公平なレースができることにつながっていく良い取り組みだと感じだ。

 もう東京五輪開幕まで1年を切った。本番まで時間は限られていて、やれることも限られている。その残された時間を何に充てるのか。その判断がまずは重要だ。勘や自分の経験則だけで判断するのではなく、様々な角度から「自分が速くなるためにできること」を考察し、残された時間でできる最大限の成長をして欲しいと思う。

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