号泣した日もあった青木玲緒樹。女子平泳ぎ日本代表のピンチを救った (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 二宮渉●写真 photo by Ninomiya Wataru

 それでも、「代表入りできなかったからこそ、気づいたこともあった」と今は前向きに振り返る。

「ウォーミングアップや日常の行動などでも、周りを気にせず自分のペースでできるようになったことがレースでいい方につながったと思います」

 平井コーチが不在時にも、自覚を持って練習に臨んでいた。

「古巣の東京スイミングセンターの合宿に参加しながら、高校生や大学生と練習をする中で自覚を持ってできたのだと思います。僕が(日本代表の)オーストラリア合宿から帰ってきた後も横で見ていたけど、受け答えがけっこう違ってきていて、自分の考えをはっきり言うようになっていました」

 こう話す平井コーチは、日本選手権後のトレーニングで腹筋などが強くなったことも、泳ぎを変化させていると評価する。

「以前は泳ぎでも足でキックをした時に腰が少し折れて、胸がガクッと沈むような姿勢になっていましたが、水中の中でのストリームラインがまっすぐになってきています。北島康介は体幹がすごく強かったけど、そういう風になってきていると思って見ていたんです。その点ではもっと上を狙える下地が、ようやくできてきたのだと思います」

 この大会へ向けては、キックの強化にも重点を置いたが、ウエイトトレーニングなどでも、基本のフォームを大事にすることを心掛けたと平井コーチは続けた。

「これまではベンチプレスを10回やる時も、きつくなってきた8回目くらいからは力んで体をねじって上げていることもあった。それもあって、日本選手権ではきつくなった時に体をねじる泳ぎになっていましたが、今は予定回数に達しなくても、フォームが崩れ始めたらすぐにやめさせるようにしていました」

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