大橋悠依「もっと前から泣いてれば」結果と感覚のズレに悩んだ7日間 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 二宮渉●写真 photo by Ninomiya Wataru

 結果から言えば、優勝したもののタイムは派遣標準IIを切るだけの2分09秒27。世界選手権代表に内定はしたが、納得できない結果だった。

 そのときの泳ぎを大橋はこう振り返る。

「バタフライが少し行きすぎたかもしれないし、平泳ぎも焦った感じだったので、最後の50mはヤバイと思いました。ラスト15mでは隣の大本里佳選手(イトマン)に負けるかもしれないと思っていました」

 大会前の感覚と結果にズレが出た原因は一体何だったのか。大橋はその原因をこう分析する。

「日本選手権という感じがしなかったというか、去年や一昨年の日本選手権と比べると自分の気持ちの高まりが少ない感じで......。この2年間でいろいろなことを経験して、日本選手権が(自分にとって)通過点になりつつあるのかもしれないですが、ここで気持ちを高めるのが今回は難しく感じました」

 確かに初戦前から大橋の表情は硬く、これまでの大会で見せていた笑顔はなかった。昨年まで日本新記録を連発して大会に活気を与えていた池江璃花子(ルネサンス)や、日本代表の主柱でもある萩野公介(ブリヂストン)が不在の中で、自分がその役割を果たさなければいけないというプレッシャーもあったのだろう。

「今大会を見ても、瀬戸大也さんは200m個人メドレーで自己ベストを出したり、普段から実力のある選手は全体の流れがよくない中でもしっかり結果を出すと感じたので、自分はまだまだだと思いました。ここ2~3年で自分の立場も変わってきて悩むこともありましたが、振り返れば16年とか17年は水泳がすごく好きで楽しくやっていた。そういう気持ちを少しでも思い出して頑張らなければいけないなと思いました」

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