世界記録も射程圏内。
18歳・池江璃花子はまだまだ進化できる!

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 築田純●写真photo by Tsukida Jun

 池江の後半50mは30秒19で、ケルシー・ウォレル(アメリカ)とエマ・マキオン(オーストラリア)に追い込まれたが、2位のウォレルに0秒36差をつけて優勝。世界選手権2位と3位の選手を相手に、自己記録を0秒15更新して金メダルを獲得して、世界のライバルたちに自らの存在を知らしめた。

「これまで日本ではいい記録を出して勝てても、世界大会では勝てないことが続いていましたが、今日の試合でアメリカの選手やオーストラリアの選手に勝つことができて自信がつきました。世界記録保持者のサラ選手と泳いでみたらどうなるかわからないけれど、来年は、自信を持って世界大会に臨めるのではないかと思います。

 最近は、自由形よりバタフライの練習の方が楽というか、50mを何本もやる時でも26秒7とかで、ほとんど26秒台でまとめられるようになってきました。自分がどんどん伸びていて、タイムを出せるのではないかと思える楽しい練習ができていました」

 もし50mの折り返しでタッチがきっちり合っていたら、「55秒台も出たのではないか」と言う池江は、「これからは、スタートでのドルフィンキックを何回にすればタッチが合うのかも考えていきたい」と、自己分析もできていた。

 もちろん、すべてを納得できたわけではない。

「自分のバタフライの特徴は、後半に伸びがあることだと思っています。今日は最後で体が動かなかったので、もっとうまく前半を楽に入って、後半まで体力がもつレースができればなと思います。

 この結果に満足することなく、世界記録まであと0秒6あるので、記録を出すために何をしなければいけないかを考えていきたいです。サラ選手の泳ぎを見ているとパワーで泳いでいる印象ですが、自分は181cmある彼女と比べれば体格も大きくないので、それを技術面で補わなければいけないと思います。技術を下げないで、そのままパワーをつけたら、サラ選手にも勝てるようになると思うので、自分のよさを伸ばしつつ、足りないところも伸ばしていけたらなと思います」

 また、今回逃した55秒台は「すぐに出ると思っています。今はまだ世界記録は遠いと感じるけど、55秒台を出せば近くに感じられるようになると思う」と話す。

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