松田丈志の予感。「池江璃花子の進化は国際大会で加速する」 (3ページ目)

  • 松田丈志●文 text by Matsuda Takeshi
  • photo by Kyodo News

 6月にヨーロッパグランプリが行われた。この大会は3大会連戦で行われるのだが、この3連戦の最後の大会で、池江璃花子と小関也朱篤が日本記録を更新した。これこそが連戦するメリットで、二人はレースを重ねていくなかで、感覚が研ぎ澄まされ、改善するべきポイントも見えてきて、記録更新に繋がったのだろう。

 同じコンディション(状態)でレースに入っても、パフォーマンス(結果)は変わる。選手は緊張などからときに、ちょっとしたミスをしてしまうこともある。多少の力み等で泳ぎが固くなったり、ペース配分が遅すぎたり、速すぎたり、スタート、ターンでミスしたりだ。

 そんなちょっとしたミスがあったとしても、今年は2大会続くのだから、もう一度修正するチャンスもあるはずだ。折角作り上げた今のコンディションだ。連戦を活かし、その中で、自分の最大限のパフォーマンスを引き出すレースを模索して欲しい。

パンパシが東京で開催される利点

 今回のパンパシフィック水泳選手権は東京開催だ。2020年東京五輪が控える中、同じ時期に東京で国際大会が開催されるのも良いシミュレーションだ。これは海外の選手にとっても同様だと思う。私も2002年にパンパシフィック横浜大会で自国開催の国際大会を経験したが、こんなに盛り上がるのか、と驚いた。その経験があるからこそ、東京でのオリンピック開催は想像しただけで、出場のチャンスがある人たちが羨ましいとさえ思う。

 競泳代表の中で最年長になった、経験豊富な入江陵介でさえも、自国開催の国際大会(オリンピック、世界選手権、アジア大会、パンパシフィック水泳選手権)は経験していない。今の競泳日本代表が自国開催の国際大会を今年経験できるのは大きなメリットだ。きっとみんな2年後に新プールで行われる五輪で活躍する自分の姿を想像することだろう。その実感を伴ったモチベーションほど強烈なものはない。

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