スタイルよし、泳ぎよし。日本の女子平泳ぎに好キャラが揃ってきた (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 二宮渉●写真 photo by Ninomiya Wataru

 そんな気迫が前半の泳ぎに出ていた。

 最初の100mは、2016年に金藤理絵が2分19秒65の日本記録を出した時より速い、1分07秒50で入った。100mを折り返した時は「きつい!と思った」と苦笑するが、2位に上がってきた渡部に、差を詰められることなく逃げ切った。

「1分7秒で入った割に2分21秒というタイムはそんなに速くないですよね。後半はバテてしまいましたが、最後は気持ちで持っていって優勝できました。大学4年の夏から自己ベストが出ていなくてベストを出したかった種目なので、それが本当にうれしかった」

 元々、平井コーチの秘蔵っ子で、ジュニアオリンピック夏季大会では10歳以下の50mと、11~12歳の100mで優勝したことがある。その頃からトップアスリートの北島康介や中村礼子らの高地合宿にも連れて行かれていたが、その後はなかなか結果を出せずにいた。

 2016年、東洋大学4年生のときに出場した夏の日本インカレで100mと200mで優勝し、ジュニアオリンピック以来の全国タイトルを獲得すると、2017年の日本選手権では2種目制覇と飛躍した。だが大舞台の世界選手権では100mは準決勝14位敗退、200mは10位敗退と、自分の力を出し切れずに終わった。

 その悔しさも今回の成長の糧となった。青木は「今年は世界の舞台への練習と言ったら悪いですが、日本の舞台でちゃんと自分のレースができてから世界の舞台へと思っている。今回は自分のレースがちゃんとできたと思うので、これを夏にいかにつなげられるかだと思っています」と先を見据える。

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