水泳界にバタフライロボット出現。19歳の幌村尚がメダリストを撃破 (2ページ目)

  • 松田丈志●文 text by Matsuda Takeshi  二宮 渉●写真 photo by Ninomiya Wataru

 幌村は手が入水して直ぐに肘が立ち、推進力を獲得しはじめるのが速い。一方で、推進力を獲得する時の姿勢が素晴らしい。腕が頭の横にあって、抵抗の少ない状態で肘が立ち始めるのだ。これは推進力を獲得するタイミングが速く、かつ抵抗の少ない姿勢も作れている、ということだ。

 兵庫県出身の幌村は高校時代まで練習量は少なかったが、その分、限られた練習のなかで技術にこだわり、高い技術を培ってきた。2017年に早稲田大学に入学してからは、トレーニング量も増え、レベルの高いライバルと競い合うことでパワーとスタミナも向上し、今回の好成績に結びついた。

 例えば、私の現役中と比べてみても、幌村の現段階でのフィジカル面でのパワーやスタミナでは、おそらく私の現役時の方が上だろう。しかし、彼の技術の高さがそれらを補い、今の高いパフォーマンスに繋がっている。

 なぜなら競泳のパフォーマンスを決める計算式は、泳技術×(パワー+持久力)だからだ。どんなにパワーとスタミナがあっても、泳技術が0だったらパフォーマンスは0なのだ。

 幌村はこれから、これまで培ってきた高い泳技術に筋力、パワー、持久力を丁寧に上乗せしていけば、まだまだ伸びていくだろう。小さい身体で世界のライバルを圧倒し、世界を驚かせてほしい。

「今夏のパンパシフィック選手権とアジア大会では金メダルを狙いたい。そして日本記録も更新したい」 

 本人もそう語っていた。どこまでいけるか楽しみだ。

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◆松田丈志が提言。「世界の進化は早い。日本も成長スピードを上げる必要あり」

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