池江璃花子が再スタート。世界ジュニアで明暗を分けた2レースの違い (3ページ目)

  • 松田丈志●文・写真 text & photo by Matsuda Takeshi

 それは自分を目指す方向に導いていくには必要なことだろう。しかし、レース直前はそうじゃない。レース前にベストパフォーマンスをするために必要なことは、結果の想像ではなく、レースで何をやるべきかに集中することだ。過去や未来のイメージを一切振り切り、今に集中する。

「今」に集中するためにはどうしたらいいのか。 

 私が結果にとらわれないためにレース前に意識していたことは、2つあった、ひとつは泳ぎの「動作」に集中することだ。結果を意識しすぎてしまえば、動作は乱れる。でも、自分のイメージする動作が正しくできれば、結果を出せる可能性は上がるはずだ。

 もうひとつは呼吸だった。レース前はどうしても緊張する。心臓は勝手にバクバクしてくる。それは自分ではコントロールできない。でも、呼吸は自分でコントロールできる。私はバクバクしている心臓を抑えられない代わりに、できるだけ呼吸をゆっくり長くし、それに集中することで、バクバクしている心臓と、レースの結果を想像したがる自分の脳とを切り離すようにしていた。

 池江自身も、一瞬でもレース前に「負けるかも」と思ってしまうと、思うように身体が動かなくなると語っていたが、その通りだろう。

 一方50mバタフライ決勝のレースはどうだっただろう。池江は自分でレースプランを考えていた。

 予選、準決勝とゴールタッチが合わなかったのを修正するため、スタート後の水中ドルフィンキックの回数を10回から8回に減らした。私は池江がいつもより手前で浮き上がってきたのを見て驚いた。手前で浮き上がった分、ストローク数は準決勝の20回から22回に増えたが、結果的にゴールタッチもピタリと合って、自らの記録を0.04秒更新した。

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