松田丈志から日本競泳陣へ。
「東京五輪で大歓声を浴びるのは君たちだ」

  • 松田丈志●文 text by Matsuda Takeshi photo by Kyodo News


 競泳チームでは五輪や世界選手権などで、毎回事前に選手ミーティングをやっているのだが、そこで必ず話されることがある。それは試合期間中に自分の出番が終わった人の過ごし方だ。大会が8日間に及ぶ場合、初日でレースが終わる人もいれば、今回の大橋や女子キャプテンを務めた清水咲子のように、最終日にメインレースがある人もいる。清水がインタビューで答えていたが、今回も全員のレースが終わるまでは、レースが終わった人も「終わった感」を出さずに、レースがある人のサポートに回るなど、最後までチームで戦う気持ちを持っていこうという話が、チーム内でされていたようだ。

 清水はレース後のコメントでも「自分は最終日のレースだったけど、チームのみんなが気を使ってくれて、最後まで頑張れた」と言っていた。

 そのチーム力が試されるのが、五輪でも世界水泳でも最終種目となる男子4×100mメドレーリレーだ。予選2位で通過した日本男子チームは決勝でも全員が記録を上げて、3分30秒19をマークし、4位入賞を果たした。メダルが獲れなかった悔しさはあると思うが、この記録は2009年の高速水着の時から止まっていた日本記録を更新するものだ。

日本新記録達成もメダルに届かず。男子4×100mメドレーリレーの面々日本新記録達成もメダルに届かず。男子4×100mメドレーリレーの面々
 入江陵介は個人種目の時よりも速い52秒80。2年ぶりの52秒台で予選、決勝と2本泳いだ。さすがリレーに強い選手だ。今後もこの種目の日本チームを引っ張っていってほしい。再び彼が世界の表彰台に帰ってくる日を楽しみにしたい。

 小関也朱篤(やすひろ)も58秒54で泳ぎ、リレーで戦える力を見せた。リレーで記録を出せない選手は、選手同士の中では信頼されない。今回の小関はそういう意味でも成長した。彼はこれまでリレーで記録を落とす時があったが、今回は世界のメダリストとして堂々と泳いでくれた。

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